徒然素心ひとりごと

[徒然]…時間があるときに、[素心]…そのとき感じたことを、[ひとりごと]…感じたままにつぶやく、エッセイときどきコラム風

文書力を高める唯一の方法

以前から文ビジネス書が書けない社会人が多いと感じている。

文書構成の基本は「起承転結」だけど、起承転結を意識するなら、起→承→転→結と一直線に繋がっていくのはもちろん、「起」「承」「転」も、すべて「結」に向かっていてほしいんだよな。

例えば「業績論文・業績発表」…昇進試験の時に書いたり、プレゼンしたりすることも多いアレを例にとると、

担当業務概要→アプローチ→成果〟みたいなサラッとしたきれいな流れが割と多い。

  • おもしろくない!
  • そのアプローチだけで、こんな立派な成果にはたどり着けないだろう?
  • 何のトラブルもなく成功した?ウソでしょ! 
  • 自分の役割りは何なのか? その時自分はどう考え、どう動いたんだよ?

これを強調しないとお前の価値や功績は伝わらないから! 

実はこれ、私が若いころに上司や先輩から何度も何度も何度も言われたことで。それで何度も何度も何度も書き直し、

〝業務概要→アプローチ→問題発生→成果〟とし、「想定外の問題が発生」→「問題解決に向けて知恵と工夫を絞り」→「仮説検証を繰り返した結果」→「大きな壁を乗り越えた」ことを盛り込んでいった。多少の脚色はご愛敬、気が付けば「問題発生」の中にも小さな起承転結が入っていた。上司や先輩は「起承転結を意識しろ」なんて教科書のようなことは言わない。ただただ率直な感想を忌憚のない言葉で伝えてくれただけ。でもおかげで、自然と起承転結が身についた気がしたもんだ、起承転結ありきの最初から枠にはめたスタートではないということも。

 

自然と身についたといえば「実験レポート」「研究論文」

私を指導してくれた物理学の先生は、〝目的・仮説→結論→理論または原理→実験方法→実験結果→考察・まとめ〟と教えてくれた。論文やレポートは、まずは結論を知りたい…と言う私の感覚にマッチし、「結論を先に」というのが染みついていった。イメージはこんな感じ。

ただ世の中の多くは、〝目的→理論または原理→実験方法→実験結果・結論→考察・まとめ〟だということを知って、「あぁ、王道はそうなんだな」と。でも途中経過を延々と読まされて、最後にようやく結論が登場する文書は正直退屈。ページを先送りし結論を先に読んで、なぜ?という理由を知りたくなったらページを戻る…のだったら、最初からその構成で書いたらいい。

というわけで私のアセスメント報告書目的・実施概要→総評・エグゼクティブサマリ→個別評価結果→対策・ロードマップ→まとめコンサルティング実施報告書には、間違いなく教わった実験レポートの構成がベースにあるね。

 

最後にもう一つ。日本技術士会の業績研究発表会や会報誌に投稿する「研究論文、研究レポート」、ここには論文執筆要領が細かく定められており、特にページ数については「本文は22字×41行の2段組みで4ページ」と定められている。

4ページの指定だと、4ページ目の8割~9割は埋めておきたい。ただこれが案外難しい。作成した文書が短い場合は、まぁなんとかなる(冗長になりがちだが)。問題は作成したら指定ページに収まらなかった場合。作者からしたら全部言いたいことだろうから、削れと言っても削れない。ではどうする? ここは俳句に学ぼう(夏井先生の顔を思い浮かべて)

  • その文章・文節は本当に必要か?
  • 同じ意味のことを複数書いていないか?
  • 別の文章・文節で置き換えできないか?
  • 散文的ではないか?
  • 段落を入れ替えることはできないか?

などなど。指定ページ内に収めるのも技術。これできたら意外とすっきりした締まった文書になるよ。

 

「ビジネス文書の書き方」や「文書力をあげるには」など文書に関する本は巷に溢れているが、文書構成の解説だったり、文書作成のテクニックだったり、読み手を意識して…など〝できるならやってる〟ことだったり。付け焼刃的に読むのはいいけれど…、でもこれに頼りすぎるといつのまにか「考える」ことをしなくなり、いずれ生成AIにとって代わられるよ。

そんなわけで文書力を上げる唯一の方法は、〝何度も書いて、何度もダメ出しを受けること〟。もうね、これしかないよ!

(おまけ)

ちなみにCMやメルマガ、コラムなど短くインパクトを必要とする文書や映像なんかには序破急という構成もあると、ブログを始めて知った。

  • :導入部…つかみ(起)
  • :展開や転換(承転)…急展開や急転換
  • :結末(結)

調べてみたら、雅楽舞楽の構成形式で、日本の芸能の共通理念の一つらしい。でありながらハリウッドのアクション映画はこの構成が多くない?

「序・みたいな。

(ま)