徒然素心ひとりごと

[徒然]…時間があるときに、[素心]…そのとき感じたことを、[ひとりごと]…感じたままにつぶやく、エッセイときどきコラム風

社員を確保したい企業と、転職サービス・退職代行サービスとの、矛盾と共存

中途採用を募集しても、良い人材が集まらない」とはよく耳にする話し。

一方で転職を支援する会社は多く、各社は年齢別や業種別など緻密なサービスを展開している。CMも盛んなところをみると、この業界は儲かっているのだろうか? それとも動労人口が減少していく中、限られた人材をいかに確保するかに躍起なのだろうか? 

驚きを通り越して衝撃! だったのはこのニュース…、

  就職後3年以内に離職した人の割合は32.3%。約1/3が3年以内に離職とは、採用する側からしたらたまったものではない。しかし本当に驚くのは、今年4月に入社したばかりの新入社員がもう辞めたい⁉ たった数週間でその会社の何が分かる? 数週間で分かるんだったら就職前にだって気づけそうなもんだけど‼ さらに辞めることを代行業者に頼むという驚愕の事実、二の句が出ない‼ 

少なくとも自分で選んで決めた会社でしょ? そこを数週間で辞める?しかも直接意思表示せず代行業者に伝えさせるとは…、無責任にもほどがある!!

 

転職サービス「doda」によると、

1位「給与が低い・昇給が見込めない」、2位「社内の雰囲気が悪い」をはじめ、10位の「ハラスメントがあった」以外は〝イヤだ/気に入らない〟といった理由がほとんど。

また、リ・カレント社による

でも、1位「自分に向いていない」、2位「給与・収入が希望条件ではない」を筆頭に、〝ネガティブな理由〟が並ぶ。

 

このご時世、嫌な会社に我慢して居続ける必要はないけれど、転職した先でも嫌なこと・気に入らないことがあったら…、また転職するのか? そんな賭けみたいなことをこれから先も繰り返すのか? 

 

せっかく採用しても、〝イヤなこと〟があるとすぐ辞める従業員が多いということは、

  • 冒頭に挙げた企業側の嘆き(良い人材が集まらない)はごもっともだけど、それでも企業は転職支援会社に頼り続けるしかないのか?
  • 一方、採用が決まれば報酬が入る転職支援会社は、転職者が増えれば増えるほど潤うんだろうけど、いたずらに転職を煽ることにはならないのか?
  • さらに、それぞれに事情はあるのかもしれないけど、退職代行サービスが、自己主張が苦手で無責任な人の隠れ蓑にならないのか?

社会全体の仕組みが根本的に間違っているような気がする!

 

では、若者の仕事に対する意識はどうなのか? 

 

日本能率協会マネジメントセンタによる

によると、

  • 安定した環境で、着実に仕事を進めることを志向
  • 学びの意欲は高い
  • 働くことへの不安感が強く、自己効力感や自己肯定感が低い

また日本財団が6ヶ国で各1000人の若者を対象に実施した

でも似たような結果、…他国と比べて自己肯定感が低い日本の若者の姿が一目瞭然。

 

一方、今どきの若者は承認欲求が強い…とよく言われるけど、実際は少々複雑!

SHIBUYA109エンタテイメント社による

では、「目立つ大きな承認」よりも「信頼できる小さな承認」を求める…とあるし、

東洋経済ONLINE記事、

toyokeizai.net

でも、「褒められたい、でも期待は重荷」…とある。

 

つまり、今の若者は、

  • やる気はあるんだけど、
  • 自己肯定感は低い(自分に自信がない)のに、
  • 給与や職場環境に不満があるとすぐに転職を考え、
  • そのくせ承認欲求は人並みにある…ただし目立たない程度に

という傾向が強そう。

 

昭和の時代には、近所には口うるさい爺ちゃんがいて、何かあると近所の子供を叱ってた…なんて光景が懐かしいが、その実は地域全体で子供を育てよう、守ろうという意識からくるもの。叱られた子供の親だって、むしろ感謝していたくらい。

これを現代社会にも適用して、社会全体で人材(人財)を育成するプロセスに応用できないかと考えた。

〝社員は自社だけのもの〟⇒〝社員(人材)は社会全体の資産(人財)〟と。

たとえば、

「企業は人材確保のためには、転職支援会社に頼り続けるしかないのか?」

  • 企業はメンターとして実務経験を通して自己効力感や自己肯定感を育む実践の場である。そのために、従来のヒエラルキー組織に固執せず、少しずつホラクラシー組織の考え方を取り込む
  • 自立している個人事業者やパートナ会社との提携関係=人が人を呼んで大きくする提携関係=に注力する

「転職支援会社は、いたずらに転職を煽ることにはならないのか?」

  • カウンセラーとして転職希望者に寄り添い、転職理由に真摯に向き合うとともに、自己効力感や自己肯定感を高める訓練を行う
  • コーディネータとして、企業ニーズに適合した人材を厳選しフォローアップする

「退職代行サービスが、自己主張が苦手で無責任な人の隠れ蓑にならないのか?」

  • 依頼者の代理ではなく、依頼者と企業との仲介役を担う
  • カウンセラーとして退職希望者に向き合い、時には本人から直接伝えさせることも大切

こうやって社会全体で人材を育成する価値連鎖(人事育成サイクル)が浸透していけば、冒頭のモヤモヤは晴れるんだけど…。いずれにしても、若者一人ひとりが自覚し、目標を持ち、自分戦略を実践することが、すべての前提だが…!

でもまぁ、優秀な人材は、退職代行や転職サービスなど利用しないだろうけどね。

(ま)