前作、前々作に続き、もう少し企業経営について考えてみたいと思います。
というのも、「船井電機が倒産」のニュースを目にしたからです。10月24日、東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けたとの事。民事再生でも会社更生法でもなく「精算」であり、またひとつ純国産ブランドFUNAIが消えることになりました。
ショック!!
しかし残念ながら、前々作で取り上げた書籍が語っていることが、いくつも当てはまります。
結局は〝負の連鎖(製品の国際競争力の低下→異業種への進出→さらなる経営の混乱)〟のアリ地獄から抜け出せなかったという事でしょうか? 残念でなりません。
企業組織というのは、最後の〝拠り所〟=「ビジョン=目指すべき姿、ありたい姿」や「パーパス=存在意義、志」が必要不可欠であり、この羅針盤を見失ってしまうと、所詮目の前の対処療法だけでは迷走=負の連鎖に陥るということをあらためて目の当たりにした気がしました。
〝拠り所〟と言えば…、
思い浮かぶ会社の一つがパタゴニア(パタゴニア アウトドアウェア)
会社の意思決定はすべて「環境危機」というひとつの文脈で行われているそうで、その根底には〝故郷である地球を守る〟という強い意志を感じます。
パタゴニアの商品はアウトドアを中心としたウェアやグッズなどです。ともすると環境保護活動のためにビジネスを行っているのか…、ビジネスを通して環境保護を訴えようとしているのか…、鶏と卵のような話ですが、そうではありません! 最近出版された書籍「レスポンシブル・カンパニーの未来」には、(どちらが始まりであったとしても)責任ある企業はどのように行動すべきか…、50年にわたって試行錯誤の末に築き上げた考え方と行動指針、環境保護とビジネスの両立を実践し、そのためのビジョンと真理と信念が描かれています。まさに!これこそCSV経営ではないか‼️
そもそもパタゴニアという会社は、2017年に発行された書籍「社員をサーフィンに行かせよう」が示唆している通り、社員の自主性を尊重し、仕事も遊びや趣味においても豊かで満ち足りた生活=まさにウェルビーイングそのものに根差した〝人的資本経営〟を実践してきているように感じます。
つまり、揺るぎのないビジョン(目指すべき姿)とパーパス(存在価値、羅針盤)を貫いていく経営陣の強い意志と苦労の先には、おのずとCSV経営やウェルビーイング経営が実現できていく→目指すビジョンに近づける…ということを身をもって伝えてくれているように思います。
〝人的資本〟と言えば…、
アマゾンの都市型熱帯雨林「The Spheres」。シアトルにあるアマゾン本社の一部というからオドロキ!
Amazonのオフィスツアー vol.1:シアトルにあるAmazonの都市型熱帯雨林「The Spheres(スフィアーズ)」の16のおすすめポイント - About Amazon | Japan
3つの球体(sphere)を合体させたような形状のガラスドーム。内部は温室で、世界中から集められた数万本もの植林、流れる川や滝、泳ぐ魚…。アマゾンの従業員はここで散歩したり、コーヒーを飲みながらミーティングをしたりするそうです。
もうスケールが違い過ぎる❗️
その真意は…「アマゾンの企業価値を高めるために何よりも重要な資産は、従業員が生み出すイノベーションだ」と考えているからだそう。CEO自らのこの発言は、なんと心強いことか!
根拠なき悲観論や思考停止した日本企業の中には、コーポレートガバナンスの仮面のもとに、カネを守るためにヒトを犠牲=人件費はコスト=にする〝名ばかり管理〟が横行し、社員のエンゲージメント低下を招き、さらなる業績低迷を招く悪循環。
人材⇒人財はコストではなく資本である…これだけは決して忘れないでほしい! すべての源泉はここにしかないのだから!
(ま)