徒然素心ひとりごと

[徒然]…時間があるときに、[素心]…そのとき感じたことを、[ひとりごと]…感じたままにつぶやく、エッセイときどきコラム風

関西私鉄の駅命名に隠された謎…、今、あらためて個性的でおもしろい

「三宮」→「神戸三宮」に、「梅田」→「大阪梅田」に、「難波」→「大阪難波に駅名が変更されて久しいが、いまだに違和感がある。幼き頃から冠なし駅名に馴染んできたので、なにか別モノのように感じると同時に、例えば、「東京上野」「東京渋谷」「名古屋栄」などと言わされているようで、なんか気持ち悪い。生まれ育ったのが阪急沿線だったので、余計に思い入れが強いのかも…。

にしても誰が決めたのだろう? 鉄道会社が独断で決めたとも思えないんだが…。駅名改称の目的や効果などをあらためて調べてみると、背景や思惑が言え隠れして、なかなかおもしろい。そして新たな発見も…。

お問い合わせさせていただいた鉄道会社の皆さん、お忙しい中、丁寧に回答いただき、ありがとうございました。

 

■神戸三宮

「神戸三宮」に改称されたのは、阪急が2013年12月、阪神が2014年4月。阪急阪神ホールディングス広報センターによると、「三宮が神戸の中心だと明確にするため」らしい。たしかに三宮は神戸市役所が近いしビジネス街や繁華街で賑わっているけれど、中華街(南京町)は元町だし、ハーバーランドMOSAICはJRの神戸が最寄駅だし、灘・脇浜地区にも有名な大手企業が複数あるけどね…。

ちなみに、神戸市営地下鉄「三宮」三宮・花時計前神戸新交通ポートライナーは「三宮」、JR西日本は「三ノ宮」、新幹線は「新神戸(さすがに新三ノ宮はチョットね…)」

〝三宮が神戸の中心〟だと明確に示したい相手は、多分、インバウンド…だよね。しかし今やインバウンドであっても「SANNOMIYA」は十分に知名度が高いと思うけど…? むしろインバウンドにとっては、同じ「神戸三宮」なのに阪急と阪神の間は徒歩10分弱離れていることや、「神戸」と「神戸三宮」と「三宮」の違い、「三宮」と「三ノ宮」の違い、のほうが難しいのでは? 

だから「神戸は神戸」「三宮は三宮」とそれぞれ独立している存在なんやから、ごちゃごちゃにせんといてほしい❗️

ちなみにJRだけ「ノ」が入るのは、元々、近くの「三宮神社」から名付けられ、土地勘のない人でも読みやすいようにって知っとう❓ ここでいう土地勘がない人とは決してインバウンドではないよね。なのでJR「三ノ宮」の「ノ」は、ひとつの個性としてなくさないでください!

 

■大阪梅田

阪急と阪神は、2019年10月から「梅田」を「大阪梅田」に改称。阪急阪神ホールディングス広報センターによると、こちらも神戸三宮と同様、「外国人観光客の利用が増える中、梅田駅が大阪中心部のターミナル駅であることをわかりやすくするためとの事。

ちなみに、大阪メトロは「梅田(正確には、御堂筋線梅田四つ橋線西梅田谷町線東梅田)」、JR西日本は「大阪西梅田の近くに北新地」も。

三宮と同じように、今やインバウンドであっても「UMEDA」は十分に認知されていると思うけど…。そして神戸三宮に輪をかけてややこしいのが「大阪梅田」界隈。

阪急と阪神の間は途中JR大阪駅をかすめて徒歩10分ほど。ただこの所要時間は、複数ある経路をうまく選択できて、かつ(これが一番の難関)四方八方から人が押し寄せる大阪地下街(特にホワイティうめだあたり)を、人の波にぶつからないように上手に進まないと余計な時間を要するからね。一度立ち止まると再び歩き始めるタイミングが難しいから、気ぃつけや❗️

だからむしろ、「阪急梅田」や「阪神梅田」のほうが分かりやすくないか?

 

大阪難波

大阪冠問題でさらにややこしいのが「難波/なんば」…「NAMBA」も十分認知されていると思うけど。

近畿日本鉄道・お客様センターによると、「2009年3月の阪神なんば線開業にあわせ、難波、上本町の両駅名の頭に「大阪」を付けることにより、両駅の所在地を明確にし、難波駅および上本町駅の認知度向上を図るためです」との事。ということは…実施は2019年の大阪梅田改称よりも随分前だったことになる。つまり、

〝「難波」は大阪にあるけど、「梅田」も大阪にありまっせ!〟と話をややこしくしているのは…、というか〝大阪の中心はこっちや!〟と挑んだのは、ミナミの近鉄ではなく、キタの阪急阪神の方やったってか⁉…しらんけど❗️

さて、インバウンドはどっちを選ぶかな?

ちなみに、近鉄阪神大阪難波、大阪メトロは「なんば」、南海も「なんば」、JRは「JR難波」

大阪メトロが「なんば」と平仮名表記なのは「読みづらいから」と。「あびこ(我孫子)」や「なかもず(中百舌鳥)」も同様の理由との事。

一方、南海が「なんば」と平仮名表記なのは、「難波を〝なにわ〟と間違わないようにするため」との事…。なんかマイペースな南海は、大阪冠問題(いや、キタとミナミの睨みあい)に関心がないかのよう。「なんば」最初の鉄道という余裕なのか誇りなのか自信なのか…。確かに関西空港発の特急は、JRが「京都行」に対し、南海は「なんば行」。大阪が付いてなくても気にしない。

  • ところで関西空港からは、JRが新大阪・京都方面へ行っているので、なにわ筋線開業の際には南海には是非神戸方面に直通してほしい!

それにしても、近鉄は、知名度向上が目的なら「大阪鶴橋」や「大阪日本橋」にしなくてもよかったんだろうか? いっそ「鶴橋焼肉街」とか日本橋でんでんタウンのほうがインパクトがあったりして…!

ところで先の近畿日本鉄道・お客様センターによると、大阪阿部野橋の頭に付いている「大阪」は、元々大正12年4月に「大阪天王寺」として開業し、当初から頭に「大阪」と付いており、翌年大正13年6月に駅名を「大阪阿部野橋」と改称し、現在の駅名が誕生しましとの事で、こちらは知名度向上やミナミとキタのいがみ合いとは全く関係がなく、歴史的背景からだった。知らんかった…聞いてみるもんやね!

 

■京都

最後は京都。河原町」→「京都河原町にしたのは、三宮や梅田と同様、京都の中心であることを分かりやすくするためとの事。だったら、なぜ「烏丸」「嵐山」には付けなかったのか…と思う(つかんくてよかったけど…)。

一方、京阪は独自路線。京阪電車お客さまセンターによると、ご利用されるお客さまに分かりやすくするため、2008年に「五条」を清水五条に、「四条」を祇園四条に、「丸太町」を神宮丸太町に変更しましたと。さらに「都市名は行先表示器(LED式)や車内放送において、「(大阪)淀屋橋行」「(京都)出町柳行」とご案内することで、お客さまに分かりやすさをご提供しております」〝お客様への分かりやすさ〟を強調。たしかに近くの有名観光地を付けることで、わかりやすく身近で親しみを感じる駅名になっていて、うれしおす❗️

 

■で、効果は?

結局、都市名冠問題は、インバウンドに向けて「都市間を結ぶ路線(特に観光地でもある京都/大阪/神戸)の移動手段はJRだけじゃないんだよ」…というPRなのかもしれないけど、それにしては中途半端というか、かえってややこしいというか…‼️

今や、日本中の有名観光地から里山やひなびた温泉街にまで、ときにオーバーツーリズムが問題になるほど、あらゆるところにインバウンドの波が押し寄せる中、わざわざ冠しなくても、SANNOMIYAUMEDANAMBAも十分知名度は高いと思う。

何年もかけて地元自治体や関係機関と調整をし、多くのお金をかけて改称した効果は…? 各社への問い合わせやHPなどから情報を得ることはできなかったが、

インバウンド需要で鉄道会社の業績急回復 京阪と南海が過去最高益、ホテルも好調 - 産経ニュース

によると、確かにインバウンド需要により各社とも業績好調との記事。

駅名の変更が、どれだけ鉄道事業に貢献できたかは不明だが、関西の大手私鉄(大手だけじゃない)は、それぞれ個性的でおもしろいんだから、その個性を売りにした戦略の方が効果的ではないか。

  • 阪急…鉄道会社らしからぬブランド力…「人々の暮らしをより豊かに」「ありがとう一世紀。これからも、ずーっと一緒に。」
  • 阪神…庶民的な阪神、甲子園の熱気とともに…「〝たいせつ〟がギュッと。」
  • 南海…地道なマイペース…と思いきや…関空へはラピートがはるかにお得」、「人 まち 未来 ‘なんかいい’」
  • 京阪…地元密着、親しみある身近な存在を目指して…「京阪のる人、おけいはん
  • 近鉄神の国・伊勢志摩への誘い/新幹線にはない贅沢な空間…「笑顔はつづくよ伊勢志摩へ」「移動時間をくつろぎの時間へ」

最後にもう一度、各鉄道会社の皆さん、お忙しい中、問い合わせに対して丁寧に回答いただき、本当にありがとうございました。

 

(おまけ)

「東京」「大阪」「名古屋」はJRがドンッ!と構えているけど、福岡では、「福岡」を名乗っているのは西鉄で、JRは「博多」。例えるなら「大阪駅」は「北駅」、「東京駅」は「千代田駅」みたいなもの。逆転現象…おもしろかっちゃん❗️

(ま)