何かに誘われたのかのように、急に京都三尾へ行きたくなって…。
京都駅からバスで約1時間、高雄バス停に降り立った瞬間、新緑には早いのに、雨上がりの草や葉の香りに包まれて思わず深呼吸、すると肩の力が抜けて全身リラックス…なんの魔法だろうか?
■ 高雄山神護寺
高雄バス停から結構な石段を下り清滝川、赤い高雄橋は神護寺参道の入り口。長い石段の参道をゆっくり上っていくこと約400段、息が切れかけた頃、ようやく立派な楼門が見えてきた。山寺にふさわしく、緑に囲まれて堂々とした風格で迎え入れてくれました。

金堂に入り内陣で手を合わせていると、住職が「お線香を薫きましょうね」と。どうやらこの日最初の訪問者だった模様。早起きのご利益かな。そして「薬師三尊の近くまでどうぞ」と。凛とした佇まいながら穏やかな表情の仏像と相対し、お線香と静かな空気に包まれて、自然と瞑想に耽っていました。。。心穏やかなとてもいい時間でした。
そしてここへ来たらかわら投げ。錦雲峡に向かい、厄除けを願って3投。なかなか真っ直ぐには飛ばないね。

帰りがけ、振り返って楼門を見上げていると、楼門の守人が、「神護寺は正式には『神護国祚真言寺』というのです。見にくいけど扁額に書いてあるんですよ」と。えっ、扁額?…屋根の軒下に掲げられている額のことだと教えていただきました。知らないことが多い! 神護寺という呼称はいわば愛称だったんだね。
■ 槙尾山西明寺
行きとは違う景色を見ながら約400段を下り、高雄橋に戻って清滝川に沿って歩いていくと、ほどなく赤い指月橋。100段ほどの石段を上ると表門。こぢんまりとしているけど、いかにも山寺という風情。落ち着くわぁ。
本堂で拝観。住職に「静かでいいお寺ですね」と話しかけてみたら、「ここは元々、神護寺の別院として建てられ、僧侶の修行の場やったんです。今では水量が少ないけど滝行なんかも行われていたそうです」と。また「1200年ほども前なので道路があるわけでもなく、よくぞこんな山奥まで人力で資材を運び、建立したもんやね」とも。観て聴いて触れて…1200年という悠久の歴史を全身で感じずにはいられません。

■ 栂尾山高山寺
清滝川沿いをさらに進み白雲橋を過ぎると、高山寺の表参道。世界遺産とはいえ、広い境内は季節外れのせいか少々ひなびた感じ。

石水院に入ると善財童子(と言うらしい)がお出迎え。鳥獣人物戯画は、まさに高山寺のお宝。躍動感あふれる動物たちと遊戯、しばし妄想の世界へ。

三尾を巡り、誰もいない静かな金堂・本堂で仏像に向かっていると、何かを語りかけてくれているような不思議な感覚にもなり、時を忘れてしまう。紅葉や青モミジの季節は、それは大勢の人が押し寄せるそうだけど、桜にも新緑にも早いこの時期だからこそ、厳かですごく贅沢な時間を過ごすことができました。
(おまけ)
帰ってからのお楽しみ。頂いたご朱印をお手本に、墨と戯れようとしたら…、

まず躓いたのが、神護寺の薬師如来や、西明寺の釈迦如来の上に書かれている見慣れない記号? これは何かと住職に聞いてみたら、梵字(ぼんじ)といって、一文字で仏さまを表している、とても御利益がある文字なんだそう。神護寺の梵字は〝ベイ〟、西明寺の梵字は〝バク〟と読み、文字通り薬師如来、釈迦如来を表すのだそうです。書き順もわからないので、似せて写すだけ…だけど。
それにしても流れるような筆さばき、そして崩し文字。神護寺の「薬師」はまだしも、西明寺の釈迦の「釈」の字どうなってんの? 高山寺に至っては「釈」と「迦」がどこにあるのかさえ…どれが「尺」?もしかして「睪」?「加」はどこに?どれが「辶」?
何枚書いても思い通りにいかず、悪戦苦闘の末の結果がコレ。全然だめだぁ…‼

(おわり)









































