■一生に一度はこんぴらさん
…ということで、金刀比羅宮へ。実は「こんぴらぐう」は愛称で、「ことひらぐう」という読み方が正式だそう。確かに「こんぴら」だと「金比羅」だけど、「ことひら」だと「金刀比羅」と変換される。
江戸時代、大流行したお伊勢参り。自由な旅がままならなかった中、せっかく江戸からお伊勢さんまで来たのだからと京や大坂まで足を延ばし、中にはこんぴらさんまで…という人もいたらしい。
さて、まずは金刀比羅宮の表参道に構える「こんぴらうどん」、「かき揚げぶっかけ+温玉トッピング」でチャージ。
コシのある本場讃岐うどんにサクサク揚げたてのかき揚げが、胃袋に染みわたる。ご主人が「これから金刀比羅詣で? 上には販売機ないから下で買ってった方がええよ。今日も暑いんでたっぷり汗かいて、帰ってきたあとの温泉とビールが最高やん」と。こんななにげない会話・ふれあいが嬉しい。
いざ!
表参道のお土産街から階段の始まり。アーケードを抜けると日差しが厳しい! はぁはぁ! 息が切れ始めたころ大きな門が見えて…、もう着いた? と思ったのもつかの間、ここは365段の大門、まだ半分なのかぁ⁉
一礼して大門をくぐると五人百姓のお店、姐さんが「味見していきませんか」と。いただいた加美代飴はそんなに甘くもなくほのかに柚子の味。元気出るわぁ、ありがたい。
桜馬場の石畳をすぎて少し上ると桜馬場西詰銅鳥居が立つ広場に。鳥居の左側には神馬が2頭。穏やかに余生を過ごしているよう。鳥居の先の階段を上ると右に表書院。丸山応挙の襖絵は見ごたえ抜群。
いよいよラストスパート…。ただ気持ちとは裏腹に、立ちはだかる急な階段を見上げて青息吐息。しかし一段一段登るたびに身が清められると信じて…。
いよいよゴールか…と思ったのは旭社。ここで何度目かの小休止をして、最後の御前四段坂の下に立った時は、本当にめまいがした。ハァハァ・ゼーゼー、汗だくになりながらゆっくり上っている横で、若者二人がじゃんけんゲームで「パイナツプル」「チヨコレイト」などと軽やかに追い抜いて行った。情けないというか、眩しいというか…。
そしてついに御本宮に到着。やりきった達成感!パワーをもらい、絶景を眺め、785段を上ってきた甲斐がありました。
おみやげは五人百姓の加美代飴と金木犀のお香を。
■国生み神話の神社で夫婦円満を
はるか昔、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)が、矛先から滴り落ちた雫で国づくりをしたという国生み神話を思い出す。最初につくった島が自凝島(おのころじま)で、淡路島ではあちらこちらで〝おのころ〟に遭遇する。大鳥居をくぐった瞬間、空気が変わったように感じるのは、ここが国生みの始まりであるからか。手水舎の亀がかわいい。
夫婦の大楠は、元は二株だったものが長い年月の中でくっついて一株に成長した珍しい樹なのだそう。まさに伊弉諾尊と伊弉冉尊が宿っているかのような厳かな雰囲気と、ふたりで国づくりをしたという力強さを感じるご神木。
(おまけ①)
淡路島の朝焼け。5時40分頃、最初は小さな点だったものが少しづつ姿を現し、海に朝日の道が。龍のような雲を従え、なんて神々しく、そして力強いことか!
(おまけ②)
左の写真が大鳴門僑、右が明石海峡大橋。どちらも凛とした美しい吊り橋、いつまでも見とれてしまう。
神様だけでなく、朝日にも橋にもパワーをもらった旅でした。
(ま)