個人のウェルビーイングに留まらず、ウェルビーイング社会、ウェルビーイング経営、ウェルビーイング教育など、ウェルビーイング(Well-being)が大はやり。
WHO世界保健機構の憲章によると、「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(Well-being)にあること」と定義されていて、持続可能性や個人の権利が重視されている。そういう意味では、単に「幸せ」「喜び」を示すHappinessとは、範囲も深さも異なる概念。
「世界幸福度報告書」は当初からウェルビーイングに焦点を当てているそうで、今年も国際幸福デー(3月)にあわせて公表された。
1ヶ国あたり無作為に選ばれた15歳以上約1,000人を対象に、
- 社会的な支え(福祉や教育、親戚や友人関係、地域社会など)
- 1人あたりGDP(経済的な豊かさ)
- 健康寿命(心身ともに健康でいられる期間)
- 人生の選択の自由(自分の人生を自分で選択できているか)
- 寛大さ(他者への思いやりや寄付の精神があるか)
- 汚職の認識(ビジネスや政府への信頼)
について調査・分析。お国柄や歴史、文化、風習、環境などが異なるので、比較することには多少の違和感はあるものの、あくまで参考材料として覗いてみると、
1位は9年連続フィンランド、2位アイスランド、3位デンマーク、4位コスタリカ、5位スウェーデン、6位ノルウェーと、教育や医療制度など社会的支援が充実している北欧諸国が目立つ。中米コスタリカは6つの指標の中で「④自由」が突出して高い…イメージなかったけどそうなんだ。
日本は147カ国中61位で、G7ではダントツの最下位(ドイツ17位、米国23位、カナダ25位、英国29位、フランス35位、イタリア38位)。その日本の内訳はというと…、

この結果をみて、なんだか悲しい気持ちになった。
- 日本の「③健康寿命」は長年世界トップクラスだし、「②一人当たりGDP」も上位なのに、全体的な幸福度は低いってどういうこと?
- 長生きしても日々の充実を感じられず、将来に対して希望を持てないということか。物価高、年金や医者不足など、社会保障制度に対する不安も背景にあるのだろうか?あるいは経済格差の二極化が進んでいるのだろうか?
- 「⑤寛大さ」が際立って低い。
- 寄付やボランティアへの意識が低いのか?気持ちに余裕がなく自分のことで精一杯なのか? 「②一人当たりGDP」は上位にもかかわらず…。
- 私は阪神・淡路大震災で被災したとき、人間は極限状態になると本性がはっきり現れる(助け合おう vs. 自分さえ)ということをイヤというほど経験した。自国ファースト、自分ファーストが蔓延していくとますます…。
- 「④人生の選択の自由」が低いのがとっても気になる。
- 「自分の意志で人生を選べていない」ってどういう感覚なのかよくわからない。日本の組織というのは波風を立てないことが大事という風潮や同調圧力、失敗を許容しない社会構造、性別や年齢による制約などが、いまだに根強く残っているからだろうか?
- 私はこれまであまり疑うことなく堅実な道を歩んできたが、この歳になって振り返ると、人生の節々でもっともっと選択肢があったなぁ…、挑戦するチャンスはたくさんあったなぁ…とは思う。だからと言って今、不幸だとは思わないけど。
いずれにしても経済的な豊かさ(②一人当たりのGDP)だけでは幸福度は高めることはできないということ。それどころか経済的な豊かさだけを追い求めはじめると、その欲求は際限がなく、どこまでいっても満足しないだろうに。だから、「②一人あたりGDP」や「③健康寿命」とあわせて、〝精神的な健康〟や〝心理的な関係(頼り・頼られる絆)〟を意識することが不可欠のように思う。
世界幸福度報告書でも、「世界中のどの地域でも、SNSなどの利用頻度が高いほど、孤独感が高まり、生活満足度は低下する」とし、社会的つながり、感情的な絆の役割、対面での交流こそが幸福をもたらすと指摘している。

ちなみに多くの国や国際機関がWell-beingを定義し、それを測定するための具体的な指標を開発している。
OECD(経済協力開発機構)では、「OECD Well-beingフレームワーク」を構築し、加盟各国のWell-beingを評価。
Measuring well-being and progress | OECD
日本でも内閣府が、「満足度・生活の質を表す指標群(Well-being ダッシュボード)」という独自の指標群を策定。
Well-being(幸福度)に関する取組 : 経済財政政策 - 内閣府
しかし!指標やフレームワークは参考にはなるが、測定して数値化することにどれだけの意味があるのだろう? そもそも〝幸せ〟って小さな幸せから大きな幸せまで人それぞれに感覚的なもの。だからウェルビーイング指標に合わせる必要はないし、後ろ向きになる必要もない。
ではどうするか? 掘り下げていくと、ウェルビーイングを構成する5つの要素…PERMA理論に出逢った。
- Positive Emotion(ポジティブな感情): 喜び、感謝、愛を感じる。
- Engagement(エンゲージメント): 物事に没頭する(フロー状態)。
- Relationships(人間関係): 他者とのつながりや支え。
- Meaning(意味・意義): 人生や仕事に目的を見出す。
- Accomplishment(達成): 目標を達成する感覚。
うーん、これを私なりに噛み砕いて解釈してみると、
人は興味を持つと熱中(E)する。⇒熱中すると上手くできる(A)ようになる。⇒上手くできると嬉しい(P)。⇒さらに上手くできると人からも褒められ信頼(R)される。⇒信頼はさらなる自信となり、目的意識(M)を育む。⇒さらなる興味や強みを生む原動力になる、というポジティブ・スパイラルが生まれるということだな。
自己肯定感が高いほど、日々の満足感や幸福度も高まるはず。 くれぐれもWell-Beingという言葉に振り回されないように、Well-Beingという言葉だけが先走りすることのないように。感謝の気持ちを忘れず、自分らしく笑って生活すること…それこそが〝幸せ〟なのではないだろうか。
(おわり)


















(音羽山・清水寺HPより)